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殺陣の作り方

ここでは「オリジナルの殺陣の作り方」をご紹介いたします。

「オリジナル」と銘打ってはいますが、元になる殺陣の映像があるもの、例えば「演劇集団キャラメルボックス(以下 キャラメルボックス)」の時代劇を上演される皆さんにも十分参考になるはずです。
キャラメルボックスの時代劇は全てビデオになっていますから、殺陣の「手」はそのビデオから起こせばよいとお考えでしょうが、実際は全ての「手」がビデオに映っているわけではありませんので、ある程度は皆さんで創作しなくてはいけません。また、キャラメルボックスが公演をするのはとても大きな劇場で、殺陣もその大きさに合わせてダイナミックなものになっていますから、皆さんの場合は学校のステージに合わせて距離や角度も調節し直さなければいけません。そのためには「オリジナルの殺陣の作り方」をしっかり学んでおく必要があります。また、殺陣の「手」がついた後は、その「手」を完璧に演じられるまで練習しなければ、本番の成功はあり得ません。日頃の練習の仕方、本番前の練習の仕方も簡単に紹介しておきますので、是非取り入れてみてください。

オリジナルの殺陣の作り方

手順

1.

材料集め a. 動線 b. 手

2.

動線作り a. 大 b. 小

3.

「手」付け

4.

安全確認

5.

角度調節

6.

練習の進め方


1.材料集め


物事の上達は先ず「真似をする」ことから始めます。(もちろん私もそうでした)テレビの時代劇を録画してその殺陣のシーンを何回も見てください。見るといっても、一回分の放送を数回見る程度では全く足りません。現在関東地方では、平日の昼間ならNHKと民放合わせて一日に二〜三作品の再放送を、夜の時間帯ならこれもNHKと民放合わせて週に一〜二作品の新作を見ることができます。これらを最低二週間分は録画して「吐き気がする程(笑)」繰り返し殺陣シーンを見てください。この段階で殺陣を付ける「地力」がかなり養成されますので頑張ってください!そして見ていく中で、次の二つの動きをご自分でピックアップしていってください。

  1. 動線
    電気を通すのは銅線ですが(^^ゞ、ここで言う動線とは「殺陣の真っ只中における役者達の移動の仕方」を言います。つまり斬ったり斬られたりの殺陣の「手」ではなく、その間どのように移動し合っているかということです。よく見ると何種類かのパターンがあるのに気付くはずですから、それを自分なりに名前を付けて(例えば「入れ替わり」とか)ストックしてください。「具体的なパターンにはどういうものがあるか」は、私に聞かないでくださいね。ここから先は指導料が掛かりますよ(笑)。

  2. さあ、いよいよ斬ったり斬られたりの「手」ですね。これにもいくつかの決まったパターンがあるのに気付くはずです。そして殺陣師によってそれぞれに得意なパターンが存在することにも気付くでしょう。(もちろん私にもあります)そして、その中でご自分が気に入ったパターンを、できれば十種以上ピックアップしてストックしてください。(ビデオに再編集しておくと便利です)


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2.動線作り


ここからが実際の殺陣作りになります。動線は「1.材料集め」で説明したとおり「役者の動かし方」でしたね。ちなみに火薬に発火するのは導火線です。その動線にも「大きな動線」と「小さな動線」がありますので、先ずは「大きな動線」からご説明しましょう。

  1. 大きな動線
    「大きな動線」とは、殺陣のシーンでそれを演じる役者達がどこから登場してどこへ捌ける(はける = 退場する)かという大まかな流れのことをいいます。例えばAという人物が中央から登場、それを追うようにB,Cの二人が下手(しもて = 客席から見て左側)から登場、ひとしきり斬り合った後で、Aは闘いに勝利し上手(かみて = 客席から見て右側)より退場、B,Cの二人は共に手傷を負って下手より退場、といった具合です。しかし、これは脚本により決まることで、殺陣とは直接関係のないことですが、この「大きな動線」を決めておくことで後々「手」が付けやすくなります。
  2. 小さな動線
    次ぎに「小さな動線」ですが、これは「1.材料集め」で説明して、「ストックしておいてください」とお願いしておいた「殺陣の真っ只中における役者達の移動の仕方」です。例えば「ここで場所を入れ替えて、ここで斬られることにしよう」といった具合です。また、殺陣を演じる人間以外にも共演者が舞台上にいる場合は、その人間の位置関係も考慮しながら動線を決めていきます(例:「AがDという人を守りながら闘う」など)。慣れた人間はこの「小さな動線」作りを「手」付けと一体化して行いますが、皆さんの場合は先に「小さな動線」を作った方が、後の「手」付けが楽になると思います。

「僕がこっちに行くから、君はそっちに動きたまへ。」


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3.「手」付け


「小さな動線」ができたら先ずは「仮」の「手」を付けましょう。「1.材料集め」で苦労してストックして置いた「手」が役立つときです。ここでのアドバイスは、最初から派手で難しい「手」を使わずに、自分たちにもできそうな易しい「手」から付けていくということです。派手で格好良いことをしたいのは人情(?)ですから、皆さんの気持ちは分からなくもないのですが、実力に見合わない「手」は事故の元ですし、大体派手な動きばかりでは観る人が飽きてしまいます。まあ、派手な「手」を絶対にやるな!とは言いませんが、地味な「手」で全体を固めて、その中のほんの一部を派手な「手」にするように心がけてください。これは私が実際に「手」を付けるときに心がけていることで、メリハリのある殺陣を付けるコツでもあります。


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4.安全確認


「仮の手」が付いたら、次はその「手」が本当に安全かを確認していきます。「Web殺陣教室>ルール編」でご説明したように、殺陣で一番危険なのは「振りかぶった時の切っ先」です。同じ「手」をゆっくりと、何度も、多方向から観察して、剣を振りかぶった人の「真後ろ」には、絶対に誰もいないように動線を調節してください。(45度の振りかぶりが完璧にできる者でも、気合いが入りすぎると、どうしても背中に振りかぶってしまうものですから)動線が調節できないシチュエーションなら、「手」そのものを安全なものに変更してください。

「え〜とぉ、そこがちょっとぉ、危ないと思いますぅ〜。」


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5.角度調節


安全対策がきちんとできたなら、いよいよ仕上げの角度調節です。客席側の少なくとも1. 上手寄り 2. 中央 3. 下手寄り の三点から「手」を確認して、「斬れてな〜い」箇所を洗い出し、角度を調節します。前もって言っておきますが、三つの視点全てから「斬れている」ように見せるのは至難の技です。少なくとも二つの視点から見て「斬れている」様に見えるなら合格としましょう。角度を変えると「安全度」も微妙に変化してきますから、再び全方向からの安全確認をして調節します。

ここまで来て、ようやく「手」が付いたと言えます。後は練習あるのみ。頭で考えなくても身体が動くようになるまで、十分に練習してください。次ぎに「練習の仕方」も記しておきますので、参考にしてください。

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6.練習の進め方


殺陣の練習の仕方は、スポーツで身体を動かすときに似ています。スポーツでウォーミングアップも無しに、いきなりフルスピードで身体を動かしたなら、たちまち筋肉を痛めてしまいます。殺陣も同じで、練習開始と同時にいきなりMAXで「手」を演じたなら、後には怪我人の山が築かれることでしょう。
殺陣の練習時には、大体以下の三パターンの順で稽古するのが普通です。

      1. 三割のスピードと力(ほとんどスローモーション)
      2. 五〜七割のスピードと力
      3. 本番のスピードと力(MAX)

殺陣の「手」が付いたばかりの時は「1.三割のスピードと力」で何度も何度も繰り返して「手」を覚えます。完全に覚えたという段階で「2.五〜七割のスピードと力」に上げていきます。殺陣を構成するメンバー全員がこのスピードで動けるようにならない内は絶対に「3.本番のスピードと力」に上げてはいけません。一人でも遅れるようなことがあれば、必ず怪我人を出してしまうからです。

「3.本番のスピードと力」で十分動けるようになっても、練習に入るときにはいつも「1・2」のスピードでウォーミングアップして、徐々にスピードを上げるようにしてください。

本番当日もそうです。衣装を着る前に、必ず「1〜3」の順でリハーサルをしてください。どんなに慣れた動きでも、日によって全員のコンディションは微妙に違ってきますから、それを確認するためです。くれぐれもリハーサル無しに本番に入るようなことはしないでください。


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