
| 皆さんは、これまでに「基本的なストレッチ」を勉強してきましたね。その主な目的には、 (1)怪我の予防 (2)動きの改善 (3)疲労回復、などが挙げられました。しかし、華麗なキックを自在に操るためには、実は、これだけでは全く不十分なのです。足腰と股関節の柔軟性が、「基本ストレッチ」のレベルから比べれば、2〜3倍は必要になってくるのです。ですから、これからご紹介する「キック・ストレッチ」は、「基本ストレッチ」の 2〜3倍は「キツイ」内容だと言えるでしょう。別の言い方をすれば、 2〜3倍「危険」な内容とも言えます。
「ストレッチが危険」と言われても多くの人がピンと来ないでしょうが、スポーツ障害の中の「肉離れ」は意外にもストレッチをしている時に起こることが一番多いのです。その危険性を充分理解された上で、慎重に、かつ根気強く、この「キック・ストレッチ」に取り組むようにしてください。 キック・ストレッチを行う際の注意点
※基本的な注意は「基本ストレッチ」に準じますからそちらを参照してください。
前屈「前屈」は、両足を揃えて前に出し、そこに上体を倒していくストレッチです。太ももの裏、腰の裏側が柔軟になります。 |
![]() |
→
← |
![]() |
この動作の目的は、背中、腰のさらなる柔軟性を向上させることにもありますが、もっと大切なことは、単純に「背筋」だけではない、「背骨を囲んでいる細かい筋肉達」を使えるようになるということです。
ですから、腕に力を入れて、足をグイグイ引っ張りながら、力任せに背中を反ることは絶対に避けてください。効果を得られないどころか、背筋などを痛めてしまいます。「背中が固くて 1ミリも起こすことが出来ない」という人は、無理をせず、前屈だけをしばらくの間続けるようにしてください
膝を左右に大きく開き、両足裏を合わせた体勢で上体を前に倒します。腰と股関節の柔軟性を高めるストレッチです。

前屈の柔軟性が充分付いたならば、背骨全体を伸ばしてみましょう。
![]() |
→
← |
![]() |
腕で床を押し上げ、力任せに背中を反ることは絶対に避けてください。効果を得られないどころか、背筋などを痛めてしまいます。
開脚は両脚を左右に開いて、その空いた前面に上体を倒していくストレッチです。前述の「足裏合わせ」同様、股関節を重点的に伸ばすもので、美しい「キック姿勢」の根幹を成すストレッチです。股関節や脚裏の筋を痛めやすいストレッチですので、最初は無理をせず、徐々に身体を慣らしていってください。

開脚の柔軟性が充分付いたならば、背骨全体を伸ばしてみましょう。
![]() |
→
← |
![]() |
腕で床を押し上げ、力任せに背中を反ることは絶対に避けてください。効果を得られないどころか、背筋などを痛めてしまいます。
背骨全体を伸ばせるようになったら、今度は、そこからさらに腰の下側、仙骨の上端を反ります。いわゆる「腰の入れ」を開脚したまま作るわけです。(「腰の入れ」は「姿勢編」を参照)
![]() |
![]() |
この「開脚をしての腰入れ」は、蹴り脚を自在に操れるように成るためには是非とも必要なストレッチです。しかし、股関節、腰椎、仙腸関節(骨盤の関節)が平均以上に柔らかくなくては、到底このストレッチは成し得ません。股関節が固い人が無理にこれを行うと(例えば人に押して貰ったりして)、間違いなく再起不能なくらいに腰を壊してしまいます。「基本ストレッチ」から連綿と続く「ストレッチ・上達過程」の最終段階だと心得て下さい。
脇から腰の横までの「体側(たいそく)」、股関節、脚裏の筋が伸ばされます。「横蹴り」や「回し蹴り」の「高さ」はこのストレッチから生まれます。後述する「ストップ&スローモーション」の基礎ともなりますので、しっかりと鍛錬を積んで下さい。
![]() |
![]() |
「上体倒し」は、腰がしっかりと「入っている」ことが理想です。右の写真の様に腰が丸まって逃げてしまっては、このストレッチの効果が半減してしまいます。大変難しい事ですが、時間を掛けて、しっかりと身に付けましょう。
![]() |
![]() |
|
|
腰が入った正しい「上体倒し」
|
腰が逃げた悪い「上体倒し」
|
両脚を前後に開きます。両手でしっかりと体重を支え、脚に急激な力が加わらないよう調整します。息は、静かに、細く、長く「吸ったり吐いたり」を繰り返します。片方の向きで16秒程行ったら、向きを替えて同じ事を繰り返します。
![]() |
![]() |
脚裏全体と股関節の柔軟性を高めます。

ベースと同様、壁に片手を付き、横蹴りのフォームをスローモーションで行います。蹴り脚が上がり始めたら、同じ側の手を膝の裏から差し込み、脚を上げるのと同時に持ち上げます。脚を上げきったら、そのまま 5〜6秒キープします。この運動の最中、呼吸はゆったりと吐き続けます。これを左右繰り返します。
![]() |
→ | ![]() |
→ | ![]() |
バランス感覚はもちろんですが、横蹴りを行う際の「細かい筋肉」と「神経」も同時に鍛えられます。最初はかなり「キツイ」練習ですが、華麗な横蹴りを行うためには絶対に必要な練習です。
横蹴りのフォームは、腰がしっかりと「入っている」ものが理想です。大変難しい事ですが、時間を掛けて、確実に習得しましょう。
![]() |
![]() |
|
|
腰の入った理想の
フォーム |
腰の丸まった悪い
フォーム |
「横蹴り」と同様、壁に片手を付き、回し蹴りのフォームをスローモーションで行います。蹴り脚が上がり始めたら、同じ側の手を膝の裏から差し込み、脚を上げるのと同時に持ち上げます。脚を上げきったら、そのまま 5〜6秒キープします。この運動の最中、呼吸はゆったりと吐き続けます。これを左右繰り返します。
![]() |
→ | ![]() |
→ | ![]() |
バランス感覚はもちろんですが、回し蹴りを行う際の「細かい筋肉」と「神経」も同時に鍛えられます。
これまでは、「静かにゆっくりと動く」か「静止しての」ストレッチでしたが、次にご紹介するのは、ダイナミックに脚を振り上げる「動的ストレッチ」です。
![]() |
→ | ![]() |
→ | ![]() |
やり方は、壁に両手を付き、片脚を振り子のように斜め前に振り出します。その脚が落ちてくる「振り子の力」を利用して、今度は対角線上の斜め後ろに向かって大きく振り上げます。振り上げた脚が落ちてくる力を利用して、斜め前の、最初の位置に戻します。これを繰り返します。片脚を10回程度振り上げたら、脚を替えて同じ動作を繰り返します。
この運動は、背中〜腰〜股関節の柔軟性を飛躍的にアップさせます。しかし、その分、各関節・靱帯に掛かる負担はこれまでのストレッチの比ではありません。身体がほぐれていない内にこの運動を行うと、背中や腰に重大な故障を引き起こす虞(おそれ)があります。必ず、前述のストレッチを一通り終えてから行うようにしましょう。